猫の門付け

 窓を開け、網戸にすだれだけの状態で寝ることが多い。先日もそのような状態でさあ寝ようかと思う夜更け、猫と目があった。すだれの隙間から愛おしそうな眼をしてこちらを見つめるのである。

 猫は嫌いではないが、飼う気はないので、当惑した。

 急いで電気を消し、ひとまずトイレの方に退散した。5分後に帰るとまだそこにいる。

 カーテンをしてすぐに寝た。緊張感に耐えられないのである。餌をやると情が移り、かといって飼い主としての責任を持つ勇気がないのである。

 托鉢のお坊さんも苦手であるが、門付けの猫も苦手である。

 いつか、自分もこの猫のように、門付けをして歩くようになるのかなーなどと変な夢を見ながら寝て、起きたら当然ながら猫の姿は無かった。