永瀬清子作品集を読む

 岡山の三大河川の一つに吉井川がある。熊山橋はその下流に掛かる立派な橋である。その袂に永瀬清子の記念碑がある。
 熊山は岡山白稜高校の最寄り駅であり、入試のたびに生徒の受験に付き添う傍ら、この町付近は歩きまわった。以前からこの女流詩人のことが気になっていたが、このたび本格的な作品集に図書館で出会い、じっくりと読んだ。

 現代詩人でありながら、戦後は百姓を貫き、農婦として自立した生活の合間詩を書き続けた。農村での生活に誇りを持ち、近所の人とも全く対等な付き合いをし、温かみのある文章や、素朴な盆踊りの詩も書けるおおらかさが素晴らしい。

 日蓮宗不受不施派の流れをくむ風土ということで、それについての記述もあるが、反骨精神はそれとも関係があるような気がする。