マンボウの 最後まで元気に 死んでいく

 北杜夫が亡くなった。彼の作品は「母の影」「きえさりゆくものの物語」「マンボウ最後の大ばくち」と最近のものを読んでおり、その躁うつ病のすさまじさに唖然とした。

 きえさりゆくものの物語は、以前このブログでも書いたことがあるが、力のある作品でこの作家の力量のすごさを感じさせる。
 子供の時、この人の初めての新聞小説である「奇病連盟」を毎日読み、その終わり方の尻切れトンボだったことから、この作家は大したことないと決めつけていた。
 奇病連盟は氏の言によれば鬱の時に書いたもので、失敗作であったそうである。そうと鬱の落差の中で、最後まで暴れまくった立派な人であると思う。ご冥福をお祈りする。