アンパンマン ヤナセたかしは 光るものあり

 アンパンマンの作者、ヤナセたかし氏の「絶望の隣は希望です!」を読んだ。この人は、NHKの漫画学校時代以来のファンであり、かれこれ50年近く気になっていた人である。立川談志との対照的な人柄がとても印象的であった。

 父親に早く先立たれ、母親は出て行き、おじさんに大事に育てられながら、町内総出で捜索されるような家出をしたりしている。画家になりたいと言って、高知の田舎から千葉大の図案科に進学させてもらい、三越の宣伝部に就職しながら、漫画家として独立。生活は成り立ったのであるが、40の頃、代表作の無いあせりから、夜悶々として手を懐中電灯で照らしたとき、手のひらに赤い血潮を見てつくったのが「手のひらに太陽を」。友達として、ミミズ、おけら、アメンボを選ぶユニークさが堪らない。

 アンパンマンは、戦地に飛び立ち、子供にアンパンを配るボロボロのヒーローで、UFOと間違えられて撃ち落とされてしまう話から始まったそうである。

 鬼太郎の水木さんと並ぶ素晴らしいおじさんである。やるなー!