小沢昭一 亡くなってまた 日本の深さ消えゆく

 小沢昭一が死んだ。悲しい限りである。飄々とした味がしっかりとした芯からにじみ出ていた気がする。通り一遍でないルサンチマンを漂わせる芸を日本の隅々まで捜し歩く人であった。

 勘三郎が死んで大騒ぎしているが、小沢昭一の死は戦後の日本の復興を引きずった日本文化史を語る上でも、もっと大きく取り上げるべき出来事だと思う。だって、戦前とつながる日本芸能史を元気よく語れる最後の人ではなかろうか。

 桂米朝の弟弟子にあたるそうであるが、彼の寂しさはいかばかりか……