稲垣足穂 荒唐無稽の 厄介さ

 稲垣足穂の復刻版「一千一秒物語」を久々に読んだ。

 大学の学生時代これを読んでとち狂った覚えがある。こんなすごい作家はいない!と叫びまわった覚えがある。

 しかし、荒唐無稽な話ばかり載っており、電車の中で、退屈で持て余しながら、我慢して読んだ。お月さまを殺した話?

 現実感は無く、むやみにけんかはするわ、ピストルは打つわ…

 ちょうど福山駅につくとき読み切り、ホッとした。

 そして、夜空を見上げると月が三角では無い事に愕然とした。

 ガス灯の眼が自分を見ているようでひやっとした。

 稲垣足穂 恐るべし!