戦前の 社会の概念 覆る

 成瀬巳喜男監督の「働く家族」をユーチューブで見た。昭和14年の映画で、プロレタリア文学作家の徳永直原作である。

 戦後民主主義を代表するような映画と見間違うような内容のもので、味のあるものであった。
 アメリカの戦後政策によるマスコミの影響もあり、私は戦前の日本は文化的に闇の時代だったと思っていた。確かにその様な部分も多かったのだろうが、喜劇や芝居、浪花節、それに軒下で碁や将棋を打ち合って過ごす文化的な姿が映画の中で見られる。今の方がお金にがつがつしていて見苦しいぐらいである。
 このような素朴な社会批判の映画が商業的に成り立っていたこと自体唖然としてしまう。