塩原多助 青との別れ 堪能す

 先日ブログに載せた「旅役者」、主人公は馬の前脚を演じる役者である。馬の前脚の演技について誇りを持って自慢をするのだが、聞いてる人は笑ってあまり本気にしない。

 地方の興行関係者による扱いに、主人公がつむじを曲げて出演を拒否したら、本物の馬を芝居に使われることになる。「馬なんかに馬の演技ができてたまるものか」などと啖呵を切るが、これが結構受けて、立場が無くなる。最後は合い方とともに馬の装束を身につけ、馬を厩舎から追い出してそのまま街中を疾走する。

 というわけであるが、いかに言っても、馬の前脚の演技でここまで自慢するのは不自然ではないか。ネットで調べると、演目が「塩原多助一代記、青との別れ」で、賢い馬が主人を助ける話なのだそうである。

 ユーチューブで、古今亭志ん生がこの演目を演じているものがあった。じっくり聞いて、馬の前脚も立派な役と納得した。