山代巴の荷車の歌を読んだ。雑誌に発表の途中で、新藤兼人に映画化の権利を希望され、最終的に全国農協婦人部の10円カンパの運動で山本薩夫監督で映画化された本である。
暗いプロレタリア文学を予想して構えて読んだのであるが、これが本当に面白い。当時の農村の人間模様が泥臭い部分だけでなく、都会にはない、人間の本質に迫る部分が生き生きと描かれていて、あっという間に読んでしまった。岡山駅を載り越しそうになったぐらいである。
自分の中の心の虫を大事にしないと、本当に他人を理解することは出来ないことを教えてくれる一冊であった。