リアリティ 教育の中に 組み入れよ

 今日は広島大学附属福山中学高等学校の公開教育研究会があり、実践授業と分科会、全体講演会に出席した。この学校は、社会や生活の中で生じる問題解決能力・論理的思考力・科学的思考力すなわちクリティカルシンキング養成する授業を行う実験校として、毎年その様子を公開している。
 
 理科の授業は一時間目が高校一年の「分力の測定実験」。電子黒板を使用し授業を行い、指示に従ってグループで斜面上での分力を測定した。結論を導き出す課程での討論などが見られず物足りなかった。二時間目は中学一年の「光合成に利用される光の色を考察する実験」。葉緑素を溶かした液の赤色の光の透過率と緑色の光の透過率を比べる実験。暗室状態にして実験したのであるが、思った結果をなかなか導くことはできなかった。本当はこうなるはずだがという不本意な感じで終わった。
 午後の分科会は参加された全国の先生の質疑、広大の先生の辛辣な授業に対するコメントがあった。「実験では、行う前に実験の目的をしっかり認識し、それに沿って実験を行い、グラフ化や他グループとの比較によりそのデータを報告書にまとめる時それを考察する」「実験において、再現性を高めるためには、自分の操作を振り返る必要がありこのことは自分自身を批判的にみる力を養成する。」など高いレベルの授業展開の必要性が語られた。
 全体講演会は国立教育政策研究所長の徳永保氏の「これからの学校教員に求められるもの」と題する講演であった。これからの教育は日本の青年が嫌でも海外の若者との競争やどんな外国に行っても通用する人材とならねば生きていけないことを念頭に置いたものでなければならない。といった内容で、日本の教育のリアリティのない知識ではなく、何のための知識かが見える教え方を教科を超えて行わねばならぬというものが印象的であった。物理の問題を解くときにアバウトでいいからこれはこういうことにも利用できるかもしれないというコメントをボンボンいうことだと思う。
 内容のある面白い講演であった。