母さんの 穏やかな顔 ありがたい

 久しぶりに母さんの入所している施設に見舞いに行った。母さんは四肢不随で相変わらず意識はないが、行くと目を覚ましてくれ、刺激に対しては反応してくれる。表情も穏やかである。話しかけたことに対し、細かく反応できたときと比べてしまい、残念に思うところもあるが、とにかく一生懸命生きてくれている姿がありがたい。

 ところで、施設に行くときアストラムの駅を乗車賃の関係で一駅前の長楽寺駅で降り、そこから歩くのであるが、この駅に長楽寺と称する神社がある。その観音堂に、慈覚大師の観自在菩薩像と弘法大師不動明王像の真筆があるということである。
 ちょうど、今日は金重明(キムチェンミン)の「みぎわの民」を読み切って感動したのであるが、それは円仁=慈覚大師の苦難とそれを助けた新羅の水運貿易に従事し力を持った人々の物語で、その慈覚大師の真筆がこの神社にあるのかと感慨深かった。