人倫の 関所を設け 模索す人あり

 山代巴の「囚われの女たち」を読み進めている。今、全10巻のうち、第3巻まで読んだ。これが大変面白い。

 戦前に、人権に目覚め、労働者として自覚するために朝鮮人の屑やのもとで伝染病も恐れず働く。よいとまけをしながらその同僚の惨状を上から目線でなく思いやる。女郎上がりの人と対等に付き合う。そして、親や兄弟を心から慕う。仲間を裏切らず、時流に流れようとせず生きる道を模索する。

 人倫の関所を設け、それを決して越えて生きてはいけないと言いきかす。
 
 上からの指導に盲従しないため、共産党を信奉しながら党本部から疎んじられた。しかし、毅然とその生き方を貫いた。

 とにかく、辛い話が多く出るのであるが、底抜けに明るく面白いのがすごい。ゆっくりと全巻読み進めて行きたい。