仏像の 伝える心 教えらる

 西村公朝氏の「形でわかる仏像入門」を読んだ。10年前亡くなられたが、NHKの市民大学講座で、仏師として仏像のことを語られていたのを毎週楽しみに見ていたのを思い出しながら読んだ。

 仏の顔の真ん中にある「白毫(びゃくごう)」は釈迦の額に生えていた一本の白い毛を表し、純白の心と別け隔てのないない慈悲の心を示す。頭の上にこぶのような隆起があってこの部分を肉髻(にっけい)という。肉髻と頭の頂の境目の正面に赤い珠を入れてあり肉髻珠といい、これは真っ赤な血の通った正しい知恵を示す。

 脚を組んだ坐像では右足が上のものは「降魔座(ごうまざ)」で煩悩を抑えろと言っており、左足が上のものは「吉祥座(きっしょうざ)」で他人にも喜びをやれと言っている。など、仏の姿が何を示しているかを語ってくれている。

 しかし、30年前の市民大学講座の先生方はすごかった。小此木啓吾河合隼雄渡辺格、小田稔、日高敏隆矢野暢など多くが死んでしまっているのが寂しい。