キムチュンミョン 熱いハートを 書き記す

 ガロアの数学の金重明が書いた歴史小説「版と義と」を読んだ。理屈っぽさと同時に熱い心を書ききることのできる人である。

 時は戦国末、秀吉の朝鮮遠征の時の物語である。朝鮮は李氏朝鮮が建国して100年以上平和が続くとともに、身分制度が固定化され、役人による腐敗政治が横行していた。
 秀吉により一族を皆殺しにされた根来鉄砲集と朝鮮の下層の見世物芸人の物語である。鉄砲集としては、朝鮮の側に寝返ってでも秀吉に刃向いたい。芸人としては腐敗した差別社会を打ち壊す外敵こそ自分が人間といして生きるチャンスを与えてくれる救世主と感じる。

 秀吉の朝鮮征伐が10万を超える大規模な侵略軍でああり、常軌を逸した殺戮を伴う様子が非常に鬼気迫るように書かれており、読み応えがあった。

 金重明、これからも読み進めたい。