放浪の 山下清は 輝いている

 福山美術館で開催されている山下清展を見に行った。大盛況であった。前売り券を近所の画廊でいつも買って見に行くのだが、今回はとっくの昔に売り切れたということで、当日券を買って入った。

 彼の作品は何度か見ているが、今回は数少ない油彩や、最晩年の東海道五十三次のペン画やヨーロッパでの作品が全部そろっている。

 乞食をしながらも面白いものを見て描く力強さと、一つ一つの作品にコメントが入っているユニークさで見入ってしまった。

 貼り絵もすごいが、マジックで描いたペン画が墨絵の面影を放っているのがすごい。マジックで絵を描く画家はいないとあったが、確かに1本のマジックでドットを正確に描いてグラデーションをつけている。

 ジミー大西展の時も感じたが、見に来た人が本当にうれしそうに絵を見ている。絵を描く喜びと、絵を見る歓びが、こういう知恵遅れ(ジミーごめん)の人の絵にはダイレクトに通じるように感じた。

 また、きのうのブログで校長の話を書いたが、人間、優等生のまま一生を終えることに、何か抵抗を感じ、このようなハンデを持ちながら、懸命に生きる人に憧れるのかもしれない。